人生の最期を考える—第47回死の臨床研究会参加記録

第47回死の臨床研究会学会に参加させていただきました。この集会では、「死」や「終末期」に関する多様な視点が共有され、看護師として、そしてACP「人生会議」を広める者として、とても興味深い内容でした。今回、参加の目的は以下の5つのテーマから学びを得ることでした。

  1. 患者や家族の「心の声」をどのように汲み取るか
  2. 死生観の多様性への理解
  3. チーム医療におけるACPの役割
  4. 自分自身の「死」に対する向き合い方
  5. 最新の終末期ケアやACPに関する研究と実践事例

抄録を読みながら参加するセッションを選ぶのに迷いましたが、「今、目の前にいる患者さんを応援するヒントをさがす」という視点を持ち、オヤジ新人看護師として挑みました。


参加したセッションの紹介

   学会場の廊下で紙細工のワンコたちなごみます

1. 経済的問題で葛藤した事例検討
経済的問題を抱える患者A氏への支援事例が紹介されました。A氏は肺がん・脳転移により金銭管理が困難となり、MSW(医療ソーシャルワーカー)が介入して支援を行いました。しかし、A氏の「自分らしさ」が損なわれる状況に直面し、MSWは悩みを抱えました。デスカンファレンスでMSWの介入は評価されたものの、「患者の個性を支えられたか」という問いが残りました。

自身の気づき:
経済的問題が患者の生活と心に与える影響の大きさ、そしてMSWの感情的な負担を目の当たりにし、チームアプローチの重要性を再認識しました。


2. 人生の最終段階において、患者が口から食べることの重要性
嚥下障害や意識障害が進行する中で、口から食事を取ることの意義を再確認し、患者の希望に寄り添った食支援が語られました。具体的な事例とエビデンスが紹介され、医療者としてのアプローチも学ぶことができました。

自身の気づき:
最期まで口から食べることへの支援が患者の尊厳を大切にしたアプローチであると感じました。食事に対する患者の想いを尊重することがQOL向上に繋がるという視点が印象に残りました。


3. がんの親をもつ子どものためのサポートプログラム”CLIMB”の活動
がん患者の子どもたちを支援するプログラムで、彼らが困難に立ち向かう力をサポートする内容が紹介されました。心理的な支援を通して、子どもたちのレジリエンスを育むプログラムです。

自身の気づき:
子どもたちが親の病気に不安を抱えながらも、その中で自身の強さを見出す支援の大切さを痛感しました。家庭での役割や感情を健全に表現できるサポートの重要性を再認識しました。


心に響いた言葉と学び

学会最後の市民公開講座で、石垣靖子先生が穏やかな口調でおっしゃった言葉が心に残っています。

「みなさん、一度きりのはかない人生を生きています。たった、一度きりよ。私、生まれ変わった人を見たことがない。だから、自分を、今を大事になさってくださいね」

この言葉が、今の僕にはスッと入ってきました。僕、ネム蔵はACP「人生会議」を広める活動を続けていますが、「今を大切に生きる」ことの大切さを改めて実感しました。万が一の医療を考えることは重要ですが、生きている「今」をどう大切にするかもまた、ACP「人生会議」の一環だと感じています。


北海道での貴重な出会い

                 旭川の石ちゃんとようやくお会いすることができました!!

            メメちゃんが一緒にキャッチコピーを考えてくれて今のブログがあります。感謝!

今回、北海道で開催された学会に参加したのには、どうしても叶えたい願いがありました。それは、ACPiece研修会で一緒に学んできた2人の大切な方とお会いすること。ネム蔵にとってのメンターである旭川の石ちゃん、そしてミスターACPのブログのキャッチコピー「知ってみようよ♪ ACP やってみようよ♪ 人生会議」を共に考えてくれた札幌のメメさんです。お二人と再会できたこと、それ自体が僕にとって大きな意味を持ちました。

          ポスター会場でもエンドオブライフケア・ミニ講座💛女性と小澤先生には掲載許可をいただいています

また、学会2日目、参加者が会場に入りきらないほどの人気セッションがありました。エンドオブライフケア協会の小澤竹俊先生が座長を務めたセッションです。発表者が発表するだけでなく、会場の参加者同士がディスカッションを行うスタイルは、まるでエンドオブライフケアの講座そのもので、とても楽しい時間でした。

学会後には、北海道で食べたいものリストに入っていたラーメンを、小澤先生、石ちゃんと3人で一緒にいただくことができました。日常の会話の中で、小澤先生と石ちゃんが自然に「反復と沈黙」というコミュニケーションの基礎を実践されていることに、ビックリしました。まさに貴重なひとときで、小澤先生おいしい時間をありがとうございました


家族への感謝とこれからの決意

     「少年よ大志を抱け」の クラーク博士

今回の学会参加では、熱い思いを持つ仲間たちとの再会と学びの時間を持てたことが、本当に幸せでした。支えてくれた家族のおかげで、こうして貴重な経験を積むことができました。この贅沢すぎる時間を作ってくれた家族に、改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。

そして、これからも僕は「ボチボチ」と、ACP「人生会議」を多くの人に知ってもらう活動を続けていきます。生きている「今」の大切さを伝えながら、一人でも多くの方が、自分自身の「万が一」を考えるきっかけを持てるように。

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この記事を書いた人

看護師の仕事をしてきました。「家族を大事に、ACP:人生会議を世の中のスタンダードにする」という夢を見つけました。失敗しながらも、まずは「ACP:人生会議」を知ってもらうための活動をしています。

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