写真:ソース: 映画配給会社東風公式サイトhttps://search.app/fPZLe8w1ydcWAU3q6より
映画『人生をしまう時間(とき)』は、人生の最終章に向き合う在宅医療の現場を描いたドキュメンタリー。医師や看護師が患者や家族に寄り添い、「どう生きるか」「どう死ぬか」を共に考えながら、心温まる瞬間と厳しい現実が交錯する様子が映し出されます。日常の延長線上にある“最期の時間”を通じて、人生の終わりをどう受け入れ、どう見送るかを深く問いかける作品です。
妻とともに岐阜・美濃市の上映会へ
今回、岐阜県美濃市で開催された上映会に、妻と二人で参加してきました。この企画は、岐阜県関市・美濃市でのACP(人生会議)の普及・啓発を目的として行われ、地域の皆さんが人生のこれからを考えるきっかけを提供したいという願いが込められています。
在宅医療の現場から学んだこと
映画を観て感じたのは、終末期の在宅医療を受ける方々とその家族、そして彼らを支える医療スタッフの姿の多様さ。それぞれの人生がいかに異なり、個々の想いや価値観が存在するのかを改めて実感しました。
特に心に残ったのは、動けなくなった妻を介護サービスなしで2年間支え続けた高齢の夫のエピソード。医療介護の支援が入って負担は軽減したものの、介護用ベッドに慣れない妻が窮屈さを訴える姿が印象的でした。この場面を通じて、病院で「良かれ」と思って提供する支援が、必ずしも本人の望むものではないことを痛感させられました。
看護師として得た新たな気づき
僕は病院内で入院患者さんのケアをしていますが、退院後の在宅生活に向けて様々な社会資源を提案する際、もっとその人の生活背景や価値観を考慮しなければならないと感じました。医療者としての“善意”が時に制約を生むこともあり、もっと個々のニーズに寄り添うことの大切さを改めて実感しました。
ACP(人生会議)の重要性を再確認
この映画は、人生の終末期をどう迎えるかを考えるための貴重なヒントが詰まっています。私たちは普段「死」を意識することは少ないですが、全ての人がいつかは必ず死に直面します。だからこそ、最期に「こんなはずじゃなかった」と悔いを残さないために、ACPを通して自分や家族と向き合い、納得のいく選択ができるようにしたいと感じました。
上映会後の癒しのひととき
上映会の後は、近くで開催されていた「美濃あかりアート展」にも足を運びました。和紙で作られた作品からこぼれる穏やかな光と、うだつの町並みの風情を、妻と共に味わいました。このような時間は、心の充電にもなりますね。今、ここに居られることに感謝です。
小雨のおかげでゆっくりうだつの町並みを散策できました
車中での会話から
地元に帰る車の中では、上映会の感想を妻と話すうちに、自然と同居している母のことや、これから直面するであろう介護についても話題が広がりました。こうした日常の中での会話こそ、まさに「人生会議」の一環だと実感しています。今回の上映会が、家族同士で未来について話し合うきっかけを与えてくれたと感じます。