経験は振り返ると学びになる

僕が教育担当として関わっている、3年目の看護師さんがいます。

看護師になって2年半。

日々の看護の中で、少しずつできることが増えてきました。

先日、半年が経過したタイミングで、僕から「多重課題について、一度振り返ってみない?」と提案しました。

そして、一緒に振り返る時間をつくることができました。

今回振り返ったのは、長日勤で複数の患者さんを受け持った2日間。

一日は、本人が「うまくできなかった」と感じた日。

もう一日は、「できた」と感じた日です。


目次

「うまくできなかった日」を振り返る

まず、「うまくできなかった」と感じた日のことを、時系列に沿って話してもらいました。

患者さんの状態が変化し、呼吸状態も悪化していく。

その変化を感じたため、他の看護師にも一緒に状態を見てもらいました。

必要な対応を行い、リーダーにも報告していました。

それでも、自分の中には、

「うまくできなかった」

という思いが残っていました。

振り返りながら、

「そのとき、どう考えていたの?」

「今だったら、どうする?」

と、一緒に考えていきました。

すると、

「自分が重症患者さんの対応をして、検査出しは他のスタッフにお願いできればよかった」

という言葉が出てきました。

僕は、この言葉がとても大切だと思いました。

誰かに答えを教えてもらったのではありません。

自分の経験を振り返ることで、自分自身で次の課題を見つけた。

それが、振り返ることの意味なのだと思います。


数日後、変化が見えた

そして、その数日後。

また複数の重症患者さんを受け持つ日がありました。

その日の話を聞いていると、

「前回の振り返りが、ちゃんと次の看護につながっている」

と感じました。

患者さんの状態を意識して観察する。

状態の変化をリーダーに報告する。

変化がないときも、そのことを報告する。

そして、自分が手いっぱいになったときには、自分の業務の一部を他のスタッフにお願いする。

前回の経験から、

「次はこうしたい」

と考えたことを、実際の看護の中で行動に移していました。

僕は、とても嬉しくなりました。

振り返ったことが、次の看護につながっていたからです。


できなかったことだけを見ない

今回、もう一つ大切なことがあります。

それは、

「できなかったこと」だけを見ないこと。

その看護師さんは、自分では周囲の先輩看護師のように動けていないと感じています。

そこで僕は、

「看護師1年目の10月と、今の自分を比べてみたらどう?」

と聞いてみました。

すると、

「できるようになったこと」

にも目を向けることができました。

看護師になって2年半。

患者さんの状態を観察し、考え、状況を言葉にして伝える力は、しっかり培われています。

もちろん、まだ課題はあります。

でも、

課題があることと、成長していないことは違います。

僕は、新人看護師さんや看護実習に来る学生さん、そして僕のところに相談に来てくれる看護師さんにも、よく伝えている言葉があります。

「他人と比べても何も生まれない。くらべるのは、昨日の自分。」

今回の振り返りでも、この言葉を思い出しました。

誰かと比べるのではなく、

「昨日の自分より、今日は何ができるようになっただろう」

と考えてみる。

そうすると、自分では気づいていなかった成長が見えてくることがあります。


「また振り返りたい」

今回の振り返りが終わったとき、その看護師さんは笑顔で、

「今日みたいなケースカンファレンスを、またやりたい」

と言ってくれました。

さらに、

「他にも自分の課題を振り返りたいから、もう一日時間が欲しい」

とも。

もちろん、僕は快諾しました。

「振り返らなければ」ではなく、

「また振り返りたい」

と思ってくれたことが、とても嬉しかった。


看護って、楽しい

僕は、この3年目の看護師さんの成長を見るのが楽しみです。

経験する。

うまくいかなかったことを振り返る。

自分で課題を見つける。

次の看護で試してみる。

そして、少しできるようになる。

振り返ったから、すぐうまくいくわけではないんだけれど、それも経験なんです。

そんな姿を近くで見られることが、教育担当として嬉しい。

そして今回、僕自身も気づきました。

この振り返りを一緒にしているうちに、

僕自身が「看護って楽しいな」と感じさせてもらいました。

誰かの成長に関わること。

一緒に悩むこと。

一緒に考えること。

そして、「できるようになったね」と一緒に喜べること。

これも、看護なんだなと思いました。


経験は振り返ると学びになる

経験しただけでは、経験のまま。

でも、立ち止まって振り返ると、そこから学びが生まれる。

そして、その学びが次の看護につながっていく。

今回、3年目の看護師さんと振り返ったことで、

「振り返ったら、成長が見えた」

そして、

「その成長を一緒に見ることで、僕自身も看護の楽しさを感じた」

そんな時間になりました。

これから、この3年目の看護師さんがどんな看護師になっていくのか。

僕は、それを楽しみにしています。

そして僕自身も、一緒に学び続けたい。

今日、僕は、この3年目の看護師さんから「看護って楽しい」と思わせてもらいました。

経験は振り返ると学びになる。

今日は、この3年目の看護師さん、新人看護師さんのペアスタッフデビューです!

応援してるからね!!

イラスト:ネム蔵 × 杉野画伯 × ChatGPT(AI生成)

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この記事を書いた人

看護師として、たくさんの「命の選択」に立ち会ってきました。

『家族を大事に、ACP「人生会議」を世の中のスタンダードにする』。

そんな夢を胸に、一歩ずつ、伝える活動をしています。

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